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忘れられる、キスを
第32章 雛鳥
「先輩、おはよ」
翌日、先輩の退院時間に合わせて病室を訪れた。
先輩は少しはねた髪が気になるのか、恥ずかしそうに、何度も手櫛で撫でつけていた。
「着替え、持ってきたよ」
「あ、ありがとう…」
先輩がもともと着ていた服は無惨な状態にされてしまっていた。
先輩には悪いと思ったが、それは処分した。
それを見てまた嫌な記憶を思い出して欲しくなかった。
「早坂さん、車で迎えに来てくれるって」
「へ、は、早坂さんが…?」
目をぱちぱちさせている。
そんな姿も可愛らしい。
思わずその頬に触れる。
「あ…」
「顔色、昨日よりずっといい…よく眠れた?」
ひゅっとはねてしまう寝癖を撫でつけた。
先輩が、ほんの少し、肩を竦める。
「ほ、星く…だめ…」
ぎゅっと肩を押し返される。
「せんぱ…」
「お楽しみのとこ悪いけど…」
突然後ろから声がした。
振り返ると早坂さんがにこにこしながら立っていた。
「おはよう、深町」
「は、早坂さん…おはようございます」
「だいぶ顔色もいいな。車で来たから、家まで送るよ」
早坂さんは、ありがとうございます、と恐縮する先輩の頭…というより寝癖の部分を撫でた。
それ、俺の特権だと思ってたのに。
「…おっと、こんなことすると星くんに怒られるな」
早坂さんがこっちを向いてにやっと笑った。
翌日、先輩の退院時間に合わせて病室を訪れた。
先輩は少しはねた髪が気になるのか、恥ずかしそうに、何度も手櫛で撫でつけていた。
「着替え、持ってきたよ」
「あ、ありがとう…」
先輩がもともと着ていた服は無惨な状態にされてしまっていた。
先輩には悪いと思ったが、それは処分した。
それを見てまた嫌な記憶を思い出して欲しくなかった。
「早坂さん、車で迎えに来てくれるって」
「へ、は、早坂さんが…?」
目をぱちぱちさせている。
そんな姿も可愛らしい。
思わずその頬に触れる。
「あ…」
「顔色、昨日よりずっといい…よく眠れた?」
ひゅっとはねてしまう寝癖を撫でつけた。
先輩が、ほんの少し、肩を竦める。
「ほ、星く…だめ…」
ぎゅっと肩を押し返される。
「せんぱ…」
「お楽しみのとこ悪いけど…」
突然後ろから声がした。
振り返ると早坂さんがにこにこしながら立っていた。
「おはよう、深町」
「は、早坂さん…おはようございます」
「だいぶ顔色もいいな。車で来たから、家まで送るよ」
早坂さんは、ありがとうございます、と恐縮する先輩の頭…というより寝癖の部分を撫でた。
それ、俺の特権だと思ってたのに。
「…おっと、こんなことすると星くんに怒られるな」
早坂さんがこっちを向いてにやっと笑った。