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忘れられる、キスを
第33章 安心毛布
「先輩!えっちゃん先輩!!入るよ!!」

気付くと星くんがいて、残った泡を流すとバスタオルで包んで、そのまま浴室の外へと連れ出してくれた。
星くんは自分が濡れるのも構わず、ガタガタと震えの止まらない私を優しく抱きしめてくれる。

「帰ってきたらお風呂場からすごい音したから…」

先ほど、星くんに鍵を預けたことを思い出す。

ちゃんと、ここに、帰って来てくれたんだ。

その安心感で身体から一気に力が抜ける。
またへたり込みそうになった私を、星くんが支えた。

「ひとまず…風邪、ひくから…身体拭いて。髪も乾かそう」

自分でできる?と星くんにきかれ、急に恥ずかしくなる。
さっと身体を拭いて、パジャマに着替える。
俺も、シャワー借りるね、と星くんが私の濡れた頭にタオルを乗せ、くしゃくしゃっと撫でた。

髪を乾かし終わった頃には星くんも部屋着に着替えていた。
ドライヤーを手渡すと、私の前髪を上げ、額の傷をそっと撫でた。

「痛くない?」
「ん…そんな、もう、塞がってるし」

傷口に貰った薬を塗り、ガーゼを当てる。
髪を乾かした星くんが戻ってきた。

「どのくらい寝てたの?夕飯とか食べた?」
「……さっき起きた」

寝過ぎ、と星くんがくすくす笑った。
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