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忘れられる、キスを
第34章 夏休み
ふっと息を吐き、姿勢を正す。

フランツ•リスト作曲「愛の夢 第三番」。
誰もが一度は耳にしたことがあるであろう、ロマンチックな名曲だ。
優美なその旋律は耳で聴くより、ずっと難しい、と思う。

えっちゃん先輩の在学中、俺は、先輩の弾く曲をこっそり練習していた。
その想いに触れたくて。
この曲も、先輩はあの、踊り場のピアノで弾いていたことがある。
なんでこんなに大切そうに弾くのだろうと、不思議に思ったっけ。

今になって、分かる。
倉田先輩との思い出なんだ。
きっと、俺と同じ。
そうやって、倉田先輩のことを想っていたんだ。

「星くん、弾いたことあるの?」

五分程の演奏が終わると、先輩が狭いピアノ椅子の半分にちょこんと腰掛けた。

「初見なわけないでしょ…これは結構、練習してた」

先輩が弾いてたから、と心の中で付け足す。

「そうなんだ。何でも弾いてくれる、っていうから初見得意なのかと」
「ちょっとカッコつけたかっただけ…」

なにそれ、とえっちゃん先輩はくすくす笑った。

ああ、この表情。
すごく、好きだ。
屈託のない、無邪気で、自然な笑顔。
ずっとこんな顔してて欲しい。

「どう、だった?」
「すごく、良かった。星くんの音、優しくて、好き」
「俺も」

え?と首を傾げた先輩と唇を合わせた。
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