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忘れられる、キスを
第36章 温泉旅行
「あと二時間くらいしたら、いい具合に夕日、みられそうだから、海の方行ってみよう」
何かを言いかけた先輩を遮るように言った。
逃げている、と分かっているが、まだ、もう少し向き合うのに時間がいる。
先輩は、まだ何か言いたげだったが、俺の言葉に頷くと、水出しの緑茶を淹れる準備を始めた。
「お茶、飲むでしょ?お菓子食べよう?」
「夕飯食べられなくならない?」
「大丈夫、ちょっとだから」
先輩の食欲はうどんやらそうめんやらといった喉越しの良いものなら食べられるくらいには回復していた。
ちょっとした茶菓子でも、食べたいと思っているなら、いい傾向かもしれない。
「食べさせてあげようか?」
「だ、大丈夫」
一口サイズの最中をさっと口に入れた。
途端に嬉しそうな顔になる。
「美味しいの?俺のもいいよ」
餡子は苦手だ。
先輩は、いいの?と一瞬迷うような表情を見せて、それからいそいそと二つ目の最中の包みを開けた。
実に嬉しそうに頬張っている。
「そんなに気に入ったんなら、後で買いに行こう?」
美味しそうに食べている先輩の顔を見ているだけで、満たされた気持ちになる。
この笑顔を守ってやることができなかった自分にまた無性に腹が立った。
何かを言いかけた先輩を遮るように言った。
逃げている、と分かっているが、まだ、もう少し向き合うのに時間がいる。
先輩は、まだ何か言いたげだったが、俺の言葉に頷くと、水出しの緑茶を淹れる準備を始めた。
「お茶、飲むでしょ?お菓子食べよう?」
「夕飯食べられなくならない?」
「大丈夫、ちょっとだから」
先輩の食欲はうどんやらそうめんやらといった喉越しの良いものなら食べられるくらいには回復していた。
ちょっとした茶菓子でも、食べたいと思っているなら、いい傾向かもしれない。
「食べさせてあげようか?」
「だ、大丈夫」
一口サイズの最中をさっと口に入れた。
途端に嬉しそうな顔になる。
「美味しいの?俺のもいいよ」
餡子は苦手だ。
先輩は、いいの?と一瞬迷うような表情を見せて、それからいそいそと二つ目の最中の包みを開けた。
実に嬉しそうに頬張っている。
「そんなに気に入ったんなら、後で買いに行こう?」
美味しそうに食べている先輩の顔を見ているだけで、満たされた気持ちになる。
この笑顔を守ってやることができなかった自分にまた無性に腹が立った。