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忘れられる、キスを
第38章 迂闊
背中からお尻にかけてキスをしようとしたところで、するりと風呂場へ逃げられてしまった。
おまけに、入ってこないで、と鍵まで掛けられる始末。

これ、本当にどうしてくれるんだ。

すっかり勃ちあがってしまった自身を見下ろす。
ため息を一つ残して、トイレに篭った。

ここに来て、自分で慰めるのは、昨日に続けて二回目。
…いや、三回目か。
情けなさに、またため息が出る。

風呂に入る前から、先輩のことばかり考えて、すっかり過敏になっていたのだ。
どうしても、勃ち上がった其処に慣れない先輩を怖がらせないために、二回とも抜いて入った。

でも、結局、風呂でも反応しちゃったしな。
俺ほんと、若い…てか、ガキ……というより最早サル…

自己嫌悪に陥りつつ、脳裏には先輩の白い肢体を浮かべ、自身を扱く。

彼女が出来たら、自分でするなんて無かったのに。
先輩と一緒にいるようになってからの方が、自分での回数が増えている気がする。
それは、俺の我慢努力の証でもあるわけなんだけど。

「ん…っ………せんぱ…えっちゃ…んせんぱ、い…」
「星くん?呼んだ?」

え。
え?

冷たい汗が背中を流れる。
ドア一枚隔てたそこに、先輩がいる。

「大丈夫?」
「……大、丈夫」

それだけ答えるのが、精一杯だった。
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