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忘れられる、キスを
第39章 ランチパーティー
「このまま、続けたい、です」

早坂さんの目が、大きく見開かれる。
まだまだ、この尊敬する優しい上司の元で働きたい。
その気持ちに、嘘はなかった。

「本当に、いいのか?」
「はい」

私の返事に、早坂さんはもう一度、本当に?と念を押した。
それから、安心したような笑顔を見せた。

「深町、これからも、宜しくな」
「は、はい、こちらこそ…!」
「お前がいないと、仕事が溜まるんだ」

明日から覚悟しとけよ、と笑って、くしゃくしゃっと私の頭を撫でた。
何だか、くすぐったいものを感じて、私もつられて笑顔になる。

「耕史さん!」
「は、早坂さん…!」

後ろから同時に声がした。
振り返ると、ジト目の千代子さんと何故か半泣きの星くん。

「そうやって、すぐ、絵津子ちゃんに触るんだから!」
「だめです、それ、俺の特権なのに…!」

二人に詰め寄られ、ごめん、と苦笑いの早坂さん。
その光景がおかしくて、笑ってしまう。

「絵津子ちゃん、ごめんなさい、くしゃくしゃにしちゃって」
「先輩、もう、ちゃんと梳かして」

ちょっとの間に千代子さんと星くんは随分仲良くなったようだった。
二人が代わる代わる髪を梳かしてくれる。

「ケーキ、出そうか」

そう言って、早坂さんはキッチンへと逃げていった。

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