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忘れられる、キスを
第39章 ランチパーティー
なんとか星くんを揺り起こし、部屋まで戻る。
ベッドにつくと、崩れるように沈み込んだ。

「ね、むい…」
「もう、飲み過ぎだよ」
「だっ、てー…ち、よこさんが…」

断れないでしょ、と眠そうな目で言う。
水を渡すと、ごくごくと喉を鳴らして飲んだ。

「ねえー先輩、ぎゅうって、して」
「え、ちょ」
「先輩、いー匂いする…」

腰の辺りに手を回され、引き寄せられる。
そのまま、ベッドに連れ込まれてしまう。
胸元に顔を埋めた星くんが、少しだけ顔をあげた。

「これ、してると、先輩独り占めしてるみたいで、好き」
「ほ、星くん…!」
「何も、しないからこのまま…」

余程眠気に襲われていたのだろう。
温泉旅行の時のように、規則正しい寝息を立てている。
広い背中と黒い髪をそっと撫でる。
ふと、耳元を見ると、春頃まで付けていたピアスの穴が塞がりかけていた。
触れるとほんのり肉が盛り上がっている。

「……俺、先輩ほど耳弱くないよ」
「へ…っ?あ、起きてたの?」
「耳、触るから…」

とろん、と眠そうな目でこちらを見上げる。
もっと、と唇が動いた。

「頭、撫でて。それ、気持ちいい」
「ん…」

柔らかな髪を梳くように撫でる。
星くんの口の端から、気持ち良さそうな声が洩れた。
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