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忘れられる、キスを
第39章 ランチパーティー
月曜日から、私はまた以前と同じ様に出社した。
二日酔いでフラフラのくせに、心配しすぎの星くんは会社の最寄り駅までついて来た。

「じゃあ、ここで。もう大丈夫だから」
「ほんとに?無理してない?」

星くんがなかなか手を離してくれない。
大丈夫、ともう一度言う。

「朝から仲良しだな」

聞き慣れた声が頭の上から聞こえた。

「は、早坂さん…!」

おはようございます、と笑うと、早坂さんも、おはよう、と爽やかな笑顔を見せた。

「じゃあ、星くん、ここからは、俺が引き受けるから」
「……はい」

星くんが渋々、手を離してくれる。

「いってらっしゃい」
「いってきます」

星くんがひらひらっと手を振った。
遅れるぞ、と早坂さんが私を促した。

「俺、また、星くんに嫌われたかな?」
「ま、また?」
「つい、からかいたくなるんだよねー……あ、いや、こっちの話」

私が、訳が分からない、という表情をしていたのに気付いてか、早坂さんが、何でもない、と笑う。

出社して、デスクに着くと、隣の席の鈴木さんが早速話しかけてきた。

「深町さん、体調、どう?」
「あ、えっと…おかげさまで…もう、大丈夫です」
「そう、良かった」

事情を知ってか知らずか、優しく笑ってそれ以上は何も聞かないでいてくれることに、ほっと息をついた。
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