この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
忘れられる、キスを
第40章 友達
同じ日に三つも本番を抱えるとやはり忙しい。
所属の団体もばらばらだと、なおのことそれぞれのスケジュールを合わせることが難しくなる。
十一月の文化祭が近付くにつれて、週末すら先輩に会えないこともあった。
「リュウ、どうした、冴えない顔して」
開店前の『スターライト』で練習する俺を眺めていた店長が言った。
ボトルの在庫チェックをしていた伊東さんがクスクス笑う。
「そりゃ、店長、絵津子ちゃん関連ですよ」
「ケンカ…ああ、振られたんか」
大人気ない大人たち二人は、勝手なことを言ってケラケラ盛り上がっている。
「ケンカもしてないし、振られてません」
ただ…と言いかけて、はっとする。
が、もう遅い。
伊東さんが、ただ?とオウム返しに言ってニヤニヤとこちらを見ている。
「文化祭近いから忙しくて…会えないんですよ、あんまり。それだけです」
「だからって、シフトは減らせないぞ?」
「…う、はい……」
授業と練習、それに『スターライト』のバイトで俺の一日はいっぱいいっぱいだ。
「あんまり寂しい思いさせると、うっかり誰かに取られちゃうかもよ?」
それは絶対イヤだ。
「あの、今日早退させて下さい!」
「却下」
店長の、ケチ。
所属の団体もばらばらだと、なおのことそれぞれのスケジュールを合わせることが難しくなる。
十一月の文化祭が近付くにつれて、週末すら先輩に会えないこともあった。
「リュウ、どうした、冴えない顔して」
開店前の『スターライト』で練習する俺を眺めていた店長が言った。
ボトルの在庫チェックをしていた伊東さんがクスクス笑う。
「そりゃ、店長、絵津子ちゃん関連ですよ」
「ケンカ…ああ、振られたんか」
大人気ない大人たち二人は、勝手なことを言ってケラケラ盛り上がっている。
「ケンカもしてないし、振られてません」
ただ…と言いかけて、はっとする。
が、もう遅い。
伊東さんが、ただ?とオウム返しに言ってニヤニヤとこちらを見ている。
「文化祭近いから忙しくて…会えないんですよ、あんまり。それだけです」
「だからって、シフトは減らせないぞ?」
「…う、はい……」
授業と練習、それに『スターライト』のバイトで俺の一日はいっぱいいっぱいだ。
「あんまり寂しい思いさせると、うっかり誰かに取られちゃうかもよ?」
それは絶対イヤだ。
「あの、今日早退させて下さい!」
「却下」
店長の、ケチ。