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忘れられる、キスを
第41章 文化祭
「…もしもし?」
『あ、えっちゃん先輩?よかったあ、まだ起きてて』

機嫌の良い星くんの声が耳に飛び込んできた。
ガヤガヤと後ろが騒がしい。

「もう寝るところ」
『え、ま、まって…!寝ないで…!!俺、今から行くから!!』
「い、今から?どこにいるの?」

近いから、十分くらいで、と早口になる。
起きててね、と念を押す星くんの後ろから「リュウー?なにしてんのー?」と甲高い女の子の声が聞こえた。
他にも何人かいるようで、星くんの名前を呼ぶ甘ったるい声が聞こえる。

『じゃ、あとで』

一方的に通話が切られた。

何、今の?

よく分からないが、とりあえず、星くんはあと十数分ほどでくるのだろう。
電気をもう一度つけ、星くんの部屋着を出しておく。

程なくして、玄関チャイムが鳴った。
鍵を開けると、倒れ込むように星くんが現れた。

「えっちゃーーん」

部屋に入るなり、ぎゅうと抱きついてきた。
居酒屋にいたのだろう、普段吸わない煙草の臭いが鼻につく。
どうやらかなり酔っ払っているらしい。

「ちょ…っと…ほしく…お、お酒臭い…」
「あーひさびさー…会いたかったー…」

いい匂い、と首筋の辺りで鼻をひくつかせる。
アルコールの回っている身体は、熱い。

「手洗いうがいして、シャワーくらい浴びて」

えー…と不満げに唇を尖らせた星くんを脱衣所に押し込んだ。
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