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忘れられる、キスを
第41章 文化祭
星くんは私を抱きしめたまま、もそもそと毛布の中にもぐりこんだ。
何でもいいから話がしたい、という私の希望で、取り留めのない会話が続いていた。

「バンドのベースとオケの子たちが同じゼミで、それで、皆で一緒に行ったんだ」

オケの子、というのは前に言っていた、バイオリンとチェロの可愛い子、なのだろうか。
ふと、さっきの電話のときに聞こえた、甘ったるい声を思い出した。

「可愛い女の子たちと一緒に行けて良かったね」

つい、余計なことを言ってしまった。

「……ヤキモチ?」
「ち、ちが…」

星くんがニヤニヤしている。

「嬉しい…先輩が、ヤキモチやいてくれるなんて……ああ、その顔、めっちゃかわいい…」
「だ、だから、そんなんじゃ、ない…」

恥ずかしくて、目を逸らす。
ぎゅうっと強く抱きしめられた。

「でも、先輩が不安になるなら、俺、もう女の子たちと飲みに行ったりしないから」
「そ、そんな、いいよ…友達でしょ…」
「え?嫌じゃないの?」

きょとん、とこちらを見る。

「だって、女の子も、友達でしょ?友達と飲みに行くのやめなくたって…」

他の感情があるなら、話は別だけど。
女友達との交友関係まで、私が口を出すことではない。

「友達、ね…」

やっぱり、俺だけか、と星くんが呟いた。

「何が?」
「んー?何でもない」

誤魔化すように唇が重ねられた。
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