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忘れられる、キスを
第42章 再会
出演者の特権で体育館のキャットウォークから舞台を見下ろす。
キラキラした衣装の女の子四人組が舞台上を所狭しと飛び跳ねていた。

崎本が身を乗り出し、彼女らに声援を送る。
それを横目に、ぼんやり舞台を眺めながら、俺は先輩のことを考えていた。

体調、ほんとに平気?


…さっき、誰と一緒にいた?


結局、気になってしまうのは、それ。
ガキっぽい、嫉妬だ。

「ねえ、リュウ、きいてる?」

突然話しかけられ、びくっと肩が揺れる。
いつの間にかライブは全ステージが終了し、観客たちもぞろぞろと引き上げていた。

「え、なんだっけ?」
「……さっきの人、リュウの彼女?」
「え、あー…うん」

なにそれ、聞いてないんだけど、不機嫌な声を出す。
別に、俺が誰と付き合おうが、崎本に報告する義務はない。

「片付け、行こ。終わったら打ち上げだよー!」

崎本はぱんっと俺の背中を叩いて先に下へ降りる。
俺も下へ降り、機材の搬出や備品の片付け、ゴミの回収をした。
出演者全員で現状復帰をすることが文化祭ライブの決まりなのだ。

「リュウ、行くぞ」

片付けが終わり、こっそり帰ろうとしていたところをボーカルの有村哲斗(ありむらてつと)に捕まった。

「朝まで飲むぞー!」

上機嫌に言って肩を組まれた。
どうやら逃げ出せそうにない。
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