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忘れられる、キスを
第42章 再会
結局なんだかんだ理由をつけて、打ち上げを早々に切り上げ、えっちゃん先輩の家に向かった。
どうしても、心配だったのだ。

玄関チャイムを鳴らすと、しばらく経ってから、ドアがあいた。

「星くん?打ち上げ、じゃないの?」

俺の顔をみて、ぱちぱちと瞬きする。
曖昧に頷いて、ふと足元をみると、湿布が貼られていた。

「足、どうしたの?」
「ちょっと、転んじゃって…」

立っているのが辛いのか、顔をしかめた。
よく見ると結構腫れている。

「捻ったの?病院は?」
「大学の医務室で湿布してもらったから大丈夫だよ。骨折とかじゃないしそんな…」
「……もしかして、ライブ中に捻った?」

会場を出て行く先輩の後ろ姿が過る。
今思えば、隣にいた奴に、支えられながら歩いていた気もする。

「ごめん、俺が来てって言ったから…」
「星くんのせいじゃないよ。私がドジだから…」

そう言って先輩が笑った時、インターホンが鳴った。
こんな時間に、誰だ?

「俺、出るよ」

ドアスコープを覗くと、見覚えのある顔。
開けて、と先輩がドアノブを握る。

なんで、まさか。
俺の心臓がどくん、と脈打つ。

「え?」

その人は俺と視線がぶつかって、表情が固まった。
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