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忘れられる、キスを
第42章 再会
「あれ、星くん、来てたんだ」
ドアの向こうにいたのは、倉田先輩だった。
「あー…えっと、大丈夫、そうだね?」
倉田先輩はえっちゃん先輩に、ビニール袋を差し出した。
「替えの湿布。腫れ引かなかったら、ちゃんと病院で見てもらうんだよ?」
「は、はい…ありがとうございます…」
じゃあね、と笑うと倉田先輩は帰って行った。
ぱたんとドアが閉まる。
数秒間の沈黙。
「なんで、倉田先輩が、湿布持ってきたの?」
トン、と壁に手を付き、先輩をそこへ縫いとめる。
責めるような俺の口調に、びくっと肩が揺れた。
「ライブの前に、偶然会って、私が入るか迷ってたら、一緒に入ってくれて…」
「待ち合わせ、してたんだ?」
え、と先輩が顔を上げる。
そんなはずないと頭では思っているのに、裏腹な言葉が出る。
「偶然、だよ。さっきも、私が足捻ったから、心配して湿布買ってきてくれただけで…」
「なんで」
「え?」
「なんで、俺に言ってくれなかったの。ライブ終わった後、すぐ、会いに行ったのに」
なんで、また、倉田先輩なの。
俺じゃ、だめなの?
こんなのはただの子どもっぽい嫉妬だ。
分かっているのに、苛々した気持ちがせりあがって、コントロールがきかない。
「よそ見、しないでよ」
俺を、見てよ。
俺だけを。
ドアの向こうにいたのは、倉田先輩だった。
「あー…えっと、大丈夫、そうだね?」
倉田先輩はえっちゃん先輩に、ビニール袋を差し出した。
「替えの湿布。腫れ引かなかったら、ちゃんと病院で見てもらうんだよ?」
「は、はい…ありがとうございます…」
じゃあね、と笑うと倉田先輩は帰って行った。
ぱたんとドアが閉まる。
数秒間の沈黙。
「なんで、倉田先輩が、湿布持ってきたの?」
トン、と壁に手を付き、先輩をそこへ縫いとめる。
責めるような俺の口調に、びくっと肩が揺れた。
「ライブの前に、偶然会って、私が入るか迷ってたら、一緒に入ってくれて…」
「待ち合わせ、してたんだ?」
え、と先輩が顔を上げる。
そんなはずないと頭では思っているのに、裏腹な言葉が出る。
「偶然、だよ。さっきも、私が足捻ったから、心配して湿布買ってきてくれただけで…」
「なんで」
「え?」
「なんで、俺に言ってくれなかったの。ライブ終わった後、すぐ、会いに行ったのに」
なんで、また、倉田先輩なの。
俺じゃ、だめなの?
こんなのはただの子どもっぽい嫉妬だ。
分かっているのに、苛々した気持ちがせりあがって、コントロールがきかない。
「よそ見、しないでよ」
俺を、見てよ。
俺だけを。