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忘れられる、キスを
第43章 すれ違い
スカートを乱暴に捲り上げられた。
内腿をつるりと撫で、舌を這わされる。
チク、チク、と紅く痕を付ける星くんに、佐野さんが重なる。

「やだ…やだよお…」

ぎゅうっと肩を押して離そうとしても、力では敵わない。
あっという間に、内腿が真っ赤になる。

「最後の文化祭だからって、そんなこと言ってさ。やっぱり、倉田先輩のことまだ好きなんでしょ?」
「何でそんなこと言うのっ…!」

売り言葉に買い言葉。
つい、口調がキツくなる。

「サヨナラするとき、キス、してたじゃん!倉田先輩と!!やっぱりあのあともずっと…!」
「それは…」

もうずっと前のことに思える倉田先輩との最初で最後のキス。
ああ、あれ、星くんは見てたんだ。

でも、後にも先にも、あれっきり。
倉田先輩とは何もない。
ただの大学時代の先輩と後輩。

それでも、嫌だったんだ、星くんは。
食事に行ったことも、つい、頼ってしまったことも。

けれど、星くんだって。
女の子たちと飲みに行ってたじゃない。
可愛い女の子とトリオやるって自慢してたし、さっきだって、別の女の子と手を繋いで体育館に戻っていったし。
女の子との経験も…結構あるって…

「星くんだって…」
「……らない…」

ぽたり、と胸の上に水滴が落ちる。

「いらない。先輩以外の女の子なんて、いらない」

はっとして、星くんの顔を見上げる。
星くんの表情が苦しげに歪められていた。
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