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忘れられる、キスを
第43章 すれ違い
「先輩だけでいいんだ…いらないんだ、他は」

スカートを強引に脱がされ、下着に手をかけられる。
悲しさと恐怖に、ぎゅっと目を瞑った。

「誰かのものになる前に、俺のにするから」

薄い茂りがかき分けられ、その奥に指先が沈む。
潤いの足りない其処への行為は、あのひりつくような痛みを思い起こさせた。

「いっ…痛…ほし、く……や…」

星くんはいつも、私の心と身体の準備が整うまで、待つ、と言ってくれていた。

それなのに、こんな、無理矢理。

悲しさに涙があふれる。

星くんをもうこれ以上、拒否したくなかった。
けれども、その激しくぶつけられる想いを、受け止めることが出来ない。

星くんの冷たい指先が、私の中に入り込み、無遠慮に掻き回されていく。
痛くて、苦しくて、怖くて、涙が止まらない。

「やめ…て…っ」

ぎゅっと背中を掴む。

拒みたくない。
嫌いになりたくない。

それでも、これ以上は受け入れられなくて、トン、と震える手で、背中を叩いた。

星くんは、その約束の合図にピクリと動きを止めた。
ゆっくりと、私の身体から唇を離す。
ずるり、と足の間から指が抜けた。

「やっぱり、俺じゃ、だめ、なんだ」

私を見下ろす瞳には、悲しみの色が浮かんでいた。
何か言わなくちゃ、と口をひらいてみても、何も言葉が出てこなかった。
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