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忘れられる、キスを
第44章 冷却
謝りたかった。
けれども、謝ってすむことじゃない。

傷つけてしまった。
悲しませてしまった。

そして、逃げ出してしまった。

これ以上、拒絶されることが怖かった。
そして、俺に向けられたあの悲しげで恐怖に満ちた瞳をもう見たくはなかった。

そうやってぐずぐずしている間に、いつの間にか三週間も連絡を取らずに過ごしてしまった。

前は毎日のように一緒にいたこともあったのに…

そう思うと余計に気分が落ち込んでしまう。

そんな俺の気持ちにはお構いなしに、内定先の会社では内定者の研修が始まっていた。
会社の沿革を改めてさらったり、基本的なマナーやコンプライアンスについての座学が行われる。
そして、内定者同士の顔合わせと、懇親を兼ねたグループワークが一週間の事前研修中、必ず一回はあった。

みっちり一週間の研修で、俺は自分で思っている以上に疲労困憊していたようだ。
最終日には、人事担当者に体調を心配される始末だった。

研修最終日、内定者一人ずつ、人事担当者やその他の役席たちとの面談が行われた。
この研修と面談で、個々の適性や今後のビジョンなどを改めて確認し、配属を決定する資料とするのだ。

「……あれ、星、くん?」

三十分程の面談を終え、控室に荷物を取りに戻りかけたところで声をかけられた。
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