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忘れられる、キスを
第45章 仲直り?
「星くん…」
「ん?」
「ごめんね…私…」

暗闇の中で、そっと引き寄せられた。
ふわりとシャンプーの匂いが鼻をくすぐる。

「エッチなことしないから、こうしてていい?」
「ん…」
「キスも、しないから…」
「………」

キス、して欲しい。
唇と唇を合わせるだけの、気持ちのいい、キスを。

「先輩がいい、って言うまで俺、待つから」
「……いいのに」
「え?」
「待たなくて、いい…」

何言ってるの、と額にぽんと手を乗せられる。
大きな掌の感覚が心地よい。

「大丈夫、だから……」
「先輩の大丈夫、は当てにならないんだけどなー」

そういいつつ、頬に、額に、口付けをおとされた。
広い背中に手を回す。

「やっぱり震えてるじゃん」
「だ、大丈夫…!」
「んー…あんまり俺も我慢できる自信ないからなー…」

星くんが頭を撫でてくれるスピードに合わせ、ゆっくり呼吸を繰り返す。
心臓だけが、ドキドキとうるさい。

「ん…今日は俺のうちのシャンプーの匂い…」

いい匂いするやつにして良かった、と髪に鼻先を埋める。
そのうちにすうすうと寝息が聞こえてきた。

「……星くん?」

呼びかけに応答はない。
ゆっくり顔をあげる。
薄く開いた唇に、そっと自分のを合わせた。
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