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忘れられる、キスを
第46章 邪魔
多少のふらつきや咳は出るものの、週明けにはなんとか熱が下がった。
仕事休めないから、と心配する俺を押しのけて出勤する後ろ姿が頼りない。

「具合悪くなったら連絡して。迎えに行くから」
「大丈夫、子どもじゃないし」

じゃあね、と人混みに消える先輩を見送り、家に戻った。
準備を整え、大学へと向かう。

俺の家にはピアノがない。
だから、練習は逐一大学に行かないと出来ない。

朝早い時間ということもあり、授業に来る以外の目的で大学構内をうろついている人はまばらだった。
サークル棟もしんと静まり返っている。

最上階の踊り場にあるピアノの蓋をあける。
外気が流れ込む場所にあることもあり、鍵盤が冷たい。

暖房も入らない、寒々しい場所だが、俺はここで弾くのが好きだ。
ここは始まりの場所だ。
俺と、えっちゃん先輩が最初に会った場所で、バレンタインに再会した場所。

適当に鍵盤を叩くと、ポーンと小気味よい反響音が返ってくる。
簡単なエチュードで指ならしをして、楽譜を開いた。
弾きながら、先輩の後ろ姿を思い返す。

体調、大丈夫かな。
お昼になったらメールしてみよう。

「それ、今度弾くやつ?」

突然声をかけられてびくりと肩が揺れた。
聴いたことある、と声の主、崎本が笑った。
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