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忘れられる、キスを
第47章 遠慮
開演のアナウンスが流れ、客席の電気がふっと消える。
拍手とともに、奏者が舞台中央へとやってくる。
クリスマスをテーマにした楽しげな曲が次々と披露されていたが、さっきの話が気になり、落ち着かない。
気付くとプログラムは半分ほど終わっていた。
何でこんなに、ぐずぐずしちゃうんだろう…
もっと、何でもはっきり言えたらいいのに。
きゅっと膝の上で拳を握る。
舞台にはまた一人奏者が登場したようだ。
会場内を大きな拍手が包む。
拍手が止み、僅かな静寂の時間が訪れる。
次は、誰、だっけ…
手元のプログラムに視線を落としたとき、会場に繊細で切なげな音が響いた。
この、音…
はっと顔をあげる。
間違いない。
この音を紡ぐのは、星くんだ。
「戦場のメリークリスマス」の切なげな旋律が会場を満たす。
ああ、この音。
星くんの、優しくて、あったかい、私の大好きな音。
いつの間に、こんなに好きになっていたんだろう。
星くんに、ずっとそばにいてほしい。
他の人の方、向いてほしくない。
この音も、独占したい。
一瞬の静寂ののちに、大きな拍手が沸き起こる。
舞台では星くんが拍手に応え、お辞儀をしていた。
星くんの、心を、独り占めしたい、なんて。
子どもみたいだ。
幼稚な想いに苦笑いしてしまった。
拍手とともに、奏者が舞台中央へとやってくる。
クリスマスをテーマにした楽しげな曲が次々と披露されていたが、さっきの話が気になり、落ち着かない。
気付くとプログラムは半分ほど終わっていた。
何でこんなに、ぐずぐずしちゃうんだろう…
もっと、何でもはっきり言えたらいいのに。
きゅっと膝の上で拳を握る。
舞台にはまた一人奏者が登場したようだ。
会場内を大きな拍手が包む。
拍手が止み、僅かな静寂の時間が訪れる。
次は、誰、だっけ…
手元のプログラムに視線を落としたとき、会場に繊細で切なげな音が響いた。
この、音…
はっと顔をあげる。
間違いない。
この音を紡ぐのは、星くんだ。
「戦場のメリークリスマス」の切なげな旋律が会場を満たす。
ああ、この音。
星くんの、優しくて、あったかい、私の大好きな音。
いつの間に、こんなに好きになっていたんだろう。
星くんに、ずっとそばにいてほしい。
他の人の方、向いてほしくない。
この音も、独占したい。
一瞬の静寂ののちに、大きな拍手が沸き起こる。
舞台では星くんが拍手に応え、お辞儀をしていた。
星くんの、心を、独り占めしたい、なんて。
子どもみたいだ。
幼稚な想いに苦笑いしてしまった。