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忘れられる、キスを
第5章 優しさ
朝食メニューとして載っていたパンケーキのセットは予想以上に美味しかった。
ふんわりとしたスポンジと甘すぎない生クリームが、空腹でひりつく胃を治めてくれた。
「先輩、なんかご機嫌ですね」
味噌汁を啜りながら、星くんが言った。
そうなのか?
確かに美味しいものを食べると機嫌良くなるけど。
落ち込んだあと、泣いて、寝て、食べたらもうご機嫌ってどんだけ私は単純なのか…
「えっちゃん先輩」
星くんが箸を置いて、改まった調子で言う。
「昨日、俺が言ったこと、嘘とかじゃないから」
「え?」
「俺が、えっちゃん先輩を、好き、って話」
真っ直ぐ、視線が捕らえられる。
そらせない。
「俺、えっちゃん先輩が、倉田先輩のこと、好きでもいいから」
倉田先輩、と言った時、少しだけ、星くんの表情が歪んだ。
「俺と、付き合って。先輩のこと、忘れさせてあげる」
俄かには信じられなかった。
確かに在学中、他の後輩よりは距離も近くて、よく話した。
けど。
三つも年上で、自分でない男を好きだと言って、それに、処女、なんて面倒臭いオマケまでついて。
そんな女に、好き、なんて。
なんで、そんなこと言うの?
「先輩、まだ信じてない…?」
「うっ…」
「じゃあ、ひとまずは俺の気持ち、信じてもらえるように頑張るね」
星くんはにこにこしながら言って、たくあんを一切れぽいと口に放り込んだ。
ふんわりとしたスポンジと甘すぎない生クリームが、空腹でひりつく胃を治めてくれた。
「先輩、なんかご機嫌ですね」
味噌汁を啜りながら、星くんが言った。
そうなのか?
確かに美味しいものを食べると機嫌良くなるけど。
落ち込んだあと、泣いて、寝て、食べたらもうご機嫌ってどんだけ私は単純なのか…
「えっちゃん先輩」
星くんが箸を置いて、改まった調子で言う。
「昨日、俺が言ったこと、嘘とかじゃないから」
「え?」
「俺が、えっちゃん先輩を、好き、って話」
真っ直ぐ、視線が捕らえられる。
そらせない。
「俺、えっちゃん先輩が、倉田先輩のこと、好きでもいいから」
倉田先輩、と言った時、少しだけ、星くんの表情が歪んだ。
「俺と、付き合って。先輩のこと、忘れさせてあげる」
俄かには信じられなかった。
確かに在学中、他の後輩よりは距離も近くて、よく話した。
けど。
三つも年上で、自分でない男を好きだと言って、それに、処女、なんて面倒臭いオマケまでついて。
そんな女に、好き、なんて。
なんで、そんなこと言うの?
「先輩、まだ信じてない…?」
「うっ…」
「じゃあ、ひとまずは俺の気持ち、信じてもらえるように頑張るね」
星くんはにこにこしながら言って、たくあんを一切れぽいと口に放り込んだ。