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忘れられる、キスを
第51章 酔っ払い
「ひゃ…っ」

ピクンと身体を反応させ、可愛らしい声をあげる。
何か言いたそうな唇をまた、塞いだ。

「ん、んんっ…は、あっ……ん、んー…」

薄い唇を食み、口腔内を舌で犯す。
歯列をなぞり、引っ込みかけた舌を絡める。
伊東さんのカクテルの味がまだ、残っているようで、ほんのり甘い。

「ん、ふ…っ………ん、ん…」

味わい尽くして、ようやく離れると、先輩は困ったような、今にも泣きそうな、そんな頼りない表情をしていた。

「……どしたの?」
「な、舐めた…」
「ん?」
「口の、中…いっぱい……舐め…た」

…舐めた、けど。
そんな確認するみたいに言われると急に恥ずかしさが込み上げてくる。

「……嫌だった?」

でも、今までだって、似たようなことしてたし。
今更、気持ち悪いとかそんな…言わないよね?

「……や、じゃ、ない」
「ん、じゃあ、もっかい」

もう一回、深く、深く、口付ける。
抱き締めた身体が、温かい。

「どう?」
「…気持ち、よい…です」

伏し目がちに、そんなことを言う。
全く、この人は。
俺のこと、煽ってるの?

「いっぱい、気持ち良くしてあげる」

熱を持った柔らかい耳朶に触れる。
零れそうになる声を先輩がこくりと飲み込んだ。
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