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忘れられる、キスを
第51章 酔っ払い
✳︎✳︎✳︎

ふっと目が覚めると、カーテンの隙間から明るい光が零れていた。
時計は七時を過ぎたところを示している。

「……ん、せんぱ…」

呼ばれてみれば、隣では半裸の星くんがすやすやと寝息を立てていた。
その安らかな寝顔に昨日の夜のことを思い返す。

………あれ?
昨日、私、帰ってきてどうしたの…?

ぼんやりとしていた意識が急にはっきりする。
はっとして布団をめくれば、ショーツ以外、何も身につけていなかった。

え?
うそ、なんで…?

パニックになりそうになった私を何かが引っ張った。

「きゃ…」
「おはよ、先輩」

そういって、星くんが私を抱きしめる。
直に触れ合う肌が温かく、心地よい。

「身体、平気?手加減はしたつもりなんだけど…」
「へ?身体?手加減…?」

私の様子を見た星くんの眉間にシワがよる。

「……もしかして、覚えてないの?」
「えっと…」
「あんなに気持ち良さそうにないてたのに?半泣きでキスもせがんだのに?」

うそ?
そんなことしたの…?

恥ずかしさに、顔が熱くなる。
はーあ、と星くんが深いため息をついた。

「先輩、案外酒弱いんだね。……もう、本当に飲んじゃダメ」

ちゅ、と星くんが唇を重ねた。

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