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忘れられる、キスを
第52章 DVD
気まずい…非常に気まずい…!
ああ、何で、ちゃんと片付けておかなかったんだ俺…
よりにもよって、先輩に見られるとか…

「……えっちゃん、先輩?」

沈黙に耐えられなくて、声をかける。

「ほ、本当にごめんなさい…!片付けてなくて…その、えっと、えっちゃん先輩だけじゃ足りない、とか、そういうんじゃ……」

むしろ、えっちゃん先輩が足りない。
週末まで我慢しすぎると、会った時に酷いことをしそうなので、適度に発散してる、というのが本音だ。

………えっちゃん先輩に雰囲気が似てるAV女優のDVDで。

「…え、っと、その、ごめん、ね…いつも、満足させられなくて…」
「な、だから、そういうことじゃなくて…!」

無理はさせたくない。
先輩の望まないことはしたくない。

「…いいよ」
「え?」
「星くんの、好きなこと、して?」

頬を赤らめ、けれど真っ直ぐに見つめられる。

俺の、好きなこと、シていいの?

「ほ、星くんが、ま、満足、するまで…好きに、して…?」

ふっと、顔が近付いて口付けを二度、三度。
交わす度に、深くなる。

「ほんとに、いいの?」

こくりと頷いた先輩のまつ毛が細かく震えていた。
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