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忘れられる、キスを
第6章 我慢
部屋に戻ると、あっという間に昨日の夜に引き戻された。
えっちゃん先輩の泣き顔や喘ぎ声がまざまざと思い出される。
布団を捲ると、先輩の痕跡が微かに残っていた。
そっとそこに顔を埋める。
身体が昨夜を思い出し、熱くなる。
ふと、先程、別れ際に彼女から奪い取ったものを思い出した。
昨日持ってきていた有名チョコレート店の小さな紙袋。
その中に丁寧に畳まれて、入っているのは、昨日、彼女が身につけていたパジャマとトランクス。

今朝、顔を真っ赤にしながら「パ、パンツは…だめ…」と言っていたのを思い出す。
そして、別れ際に、俺が持っているものに気付いたときの先輩の顔ったら……

思わず、舌なめずり。
あーあ。俺、ほんとなんでこんな変態っぽい思考なんだ?

今日は土曜日。
幸い、バイトもサークルも就活も特に予定はない。

紙袋からそっとパジャマとトランクスを取り出す。
コートとセーター、ジーンズを脱ぎ、先程のパジャマの上衣を羽織る。

あ、先輩の匂い…

ますます、身体が昂ぶる。
下半身に血が集まるのが分かる。

トランクスを手に取り、そっと鼻先に当てる。

うわ、俺、今ものすっごい変質者…

はたから見れば、自分のトランクスの匂いを嗅いで、興奮しているという至極気持ち悪い状況。

でも、もうやめられない。
先輩の残した甘い香りが鼻腔をくすぐった。



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