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第52章 DVD

「……悔しい、の」
「え？」

細い腕に抱き締められ、小さな声が聞こえた。

悔しい…？
何が？

「わ、私ばっかりで…」

嗚咽交じりの小さな声は気を付けていないと聞き逃しそうだ。

「ほ、星くんの、好きにして…って、いったのに……私ばっかり…」
「私ばっかり？」
「い、いっぱい、気持ち…よくて…」

何、それ。
そんなこと言っちゃう？

「私だって、星くん、気持ちよく、シたい…のに」

先輩の目尻からまた涙が溢れる。

「さっきも、あと風呂場でもシてくれたじゃん」

先輩がこういうコトに全然慣れないのは分かっている。
もちろん、色んなことをシたい気持ちはあるし、もっと積極的になってくれたら嬉しい。
けれども、徒らに抱きたくない。
大切に、大切にしたい。

それに、俺は、先輩が俺の腕の中で羞恥に震え、快感に溺れていく様をみるのが好きなのだ。
それは俺だけにみせる、特別な姿。
誰にもみせない、俺だけのもの。

可愛らしい声を上げ、身体を震わせて果てる姿が何よりも俺を満たしてくれる。

「俺は、先輩が気持ちよくなってるとこをみるのが一番好きなんだけど？」
「……や、やだ…私ばっかり、なんて…」

変なとこ強情なんだから。