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忘れられる、キスを
第52章 DVD
ふっと意識が戻り、目を開ける。
腕の下にえっちゃん先輩を組み敷くような体勢でいることに気付き、慌てて身体を起こす。

いつの間に眠り込んでしまったのだろう。
それでも、ゴムは処理しているし、下着も付けている。
全く思い出せないが電気も消えている。
先輩はといえば無防備に仰向けになり、すうすうと小さな寝息を立てていた。
時計は午前8時を指している。

……寝すぎ…というか、ヤりすぎ、か。

そう思いつつも、カーテンの隙間から溢れた朝日に照らされる先輩の白い身体に手を伸ばしてしまう。
自分の貪欲さに笑いが込み上げる。
仕方ない。
欲しいものは、欲しいのだ。
指先に吸い付いてくるようなしっとりとした肌は抱き締めているだけで心地よい。

「………ん、う…」

先輩が小さく呻いて、身体を捩る。
瞼が震え、そっと目が開く。

「おはよ」
「………お、おはよ…」

徐々に意識がはっきりして、昨晩のことを思い出したのか、さっと頰が紅くなる。

あんなにヤったのに、そんな反応、する?

「身体、辛くない?」
「……ちょ、ちょっと、だけ…」

もぞもぞと掛け布団を胸のあたりまで引き上げた。

「せんぱ……」

引き寄せようとしたところで、きゅううっとお腹のなる音がした。

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