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忘れられる、キスを
第52章 DVD
身体が怠い。
腰の辺りが重い。

はっきりとしない意識の中で、優しく抱き締められるのを感じた。
暖かく、心地よい。
そっと、目を開けた。

「おはよ」

……あ、星くんだ。
えっと、私、昨日……

そこまで考えて、さっと昨日の記憶が蘇る。

き、昨日…私………

あまりの恥ずかしさに頰がカッと熱くなった。
星くんが、なにその顔、と笑いながら、私の身体を気遣う。

もう何度も、こんな風に身体を重ねて、裸のまま朝を迎えているのに、私は未だに慣れなくて、恥ずかしさと気まずさから掛け布団を胸の辺りまで引き上げた。

星くんは裸でいることも何でもないかのように接してくる。
にこにこして、甘えるように私を引き寄せようとした。
途端に響く、空腹の合図。

「…お腹すいた」

星くんが私の肩に顎を乗せて呟いた。

そういえば、昨日は夕飯の準備も途中のまま…

そこまで思い返して、またぶり返すように恥ずかしさと緊張が戻ってくる。

「…なに、さっきからもじもじしてるの」

星くんが私の頬を摘む。
それだけでも、ドキドキと心臓が鳴る。

どうしたら治るの?
星くんに触れられて、嬉しくて、気持ちよくて、幸せで。
どうしたらいいの。
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