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忘れられる、キスを
第53章 ふたりぐらし
「………お腹…すいた…」

顔を背けて小さな声で呟く。
そういえば、昨日の夜から何も食べていなかった。

「朝ごはんにする?」

確かに、俺も空腹で少し胃が痛い。
でも、この雰囲気……まだ、もう少し、続けたい。
触れ合う肌の温かさから離れがたい。

「あ、朝ごはん食べたら…つ、続き……」

続き?
シてくれるの?

「いいの?」
「…ん」

じんわりと幸福感が広がる。
そしてまた、先輩を辱めたい気持ちがむくむくと顔を出す。

「ね、朝ごはん作るなら、このまま…」
「え?」

ショーツだけを身に付けた先輩にエプロンを被せる。
ダークベージュの何の飾りもないエプロンだけど、それがまた背徳感があっていい。

「な、や、やだ…っ、こ、これ…」
「パンツ穿いてるからいいでしょ」

これも脱ぐ?と指先で引っ張る。
顔を真っ赤にして、全力で首を横に振られた。

「続き、だから。ね?」
「…つ、続き………」

こくり、と先輩の喉が動く。
観念したのか、そのまま朝食の準備に取り掛かり始めた。
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