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忘れられる、キスを
第53章 ふたりぐらし
「後ろ向いて」

はしたなくひくつくナカから指を引き抜くと、星くんは私の身体の向きを変えた。
お尻を突き出すこの格好は、何度経験しても、恥ずかしさと怖さで震えてしまう。

「窓から、何か見える?」

星くんが意地悪な声で言う。
ソファの背にある窓のカーテンが開けられ、明るい光が更に部屋を満たす。

「そ、外…み、見えちゃ…」
「見えちゃうね、絵津子さんの、エッチな姿」

マンションの5階とはいえ、向かいの建物から覗かれる可能性もある。
そもそも、窓は開けっ放しだったから、さっきまでの声だって…
誰かに聞かれたかも、と思うだけで恥ずかしさで身体が熱くなる。

「声聞かれたかもしれないし、見られるかもしれない、って思っただけで、濡れちゃうんだね」

いつの間にか、星くんが自分の欲の塊を、はしたなく蜜をこぼし続けるそこへと擦り付けていた。
蜜のせいで滑らかな擦れに背筋がぞくりと粟立つ。

「いいね、もう…」

答える余裕はなかった。
欲しくて、欲しくて、たまらなかったそれを、私はすんなりと飲み込んでしまった。
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