この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
忘れられる、キスを
第7章 風邪
「皇帝」の第一楽章が終わり、第二楽章の途中まで来た所で、星くんがげっそりとした顔で戻ってきた。
ウォークマンの音が止まり、ヘッドホンが外される。

「だ、大丈夫…?」
「ん…まあ…」

お腹の調子でも悪いのだろうか。

「ちょっと、風邪引いてからずっと調子悪くて…」

私の視線に気付いたのか、星くんがぼそりという。

「せ、先輩に変な音とか、きかれるのやだったから…ごめん」

ぱっと耳まで赤くなったのが分かった。
ヘッドホンは音消し用だったわけだ。
恥ずかしがってる…?
照れてこちらを見ようとしない星くんは、ウブな中学生のようだ。

「お粥なら、お腹にも優しいと思うから、少しでも食べて」

既にだいぶ冷めてしまったお粥を、星くんが一口食べる。

「ん、うま…」

そういうと、また、一口、食べる。

「どう?」
「おいし…です…」

小さく言って、また一口。
結局、星くんは茶碗一杯分のお粥を食べ切ってしまった。

もう一度、水分を摂らせ、市販薬を飲ませる。
熱冷ましのシートを交換する。

「せんぱい、今日はいっしょに…いてくれる…?」

小さな子どものように、私の手に縋り付く。
出来れば、ついていてあげたいけど、あいにく明日も仕事だ。

「明日、また仕事終わったら来るから」
「じゃあ、おやすみの、キス」

甘えたような声。
とろん、とした目。
だめだめ。
騙されない。

「風邪移るから、なし」

そう言って、瞼の上から掌をかぶせた。




/507ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ