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忘れられる、キスを
第7章 風邪
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「皇帝」の第一楽章が終わり、第二楽章の途中まで来た所で、星くんがげっそりとした顔で戻ってきた。
ウォークマンの音が止まり、ヘッドホンが外される。
「だ、大丈夫…?」
「ん…まあ…」
お腹の調子でも悪いのだろうか。
「ちょっと、風邪引いてからずっと調子悪くて…」
私の視線に気付いたのか、星くんがぼそりという。
「せ、先輩に変な音とか、きかれるのやだったから…ごめん」
ぱっと耳まで赤くなったのが分かった。
ヘッドホンは音消し用だったわけだ。
恥ずかしがってる…?
照れてこちらを見ようとしない星くんは、ウブな中学生のようだ。
「お粥なら、お腹にも優しいと思うから、少しでも食べて」
既にだいぶ冷めてしまったお粥を、星くんが一口食べる。
「ん、うま…」
そういうと、また、一口、食べる。
「どう?」
「おいし…です…」
小さく言って、また一口。
結局、星くんは茶碗一杯分のお粥を食べ切ってしまった。
もう一度、水分を摂らせ、市販薬を飲ませる。
熱冷ましのシートを交換する。
「せんぱい、今日はいっしょに…いてくれる…?」
小さな子どものように、私の手に縋り付く。
出来れば、ついていてあげたいけど、あいにく明日も仕事だ。
「明日、また仕事終わったら来るから」
「じゃあ、おやすみの、キス」
甘えたような声。
とろん、とした目。
だめだめ。
騙されない。
「風邪移るから、なし」
そう言って、瞼の上から掌をかぶせた。
ウォークマンの音が止まり、ヘッドホンが外される。
「だ、大丈夫…?」
「ん…まあ…」
お腹の調子でも悪いのだろうか。
「ちょっと、風邪引いてからずっと調子悪くて…」
私の視線に気付いたのか、星くんがぼそりという。
「せ、先輩に変な音とか、きかれるのやだったから…ごめん」
ぱっと耳まで赤くなったのが分かった。
ヘッドホンは音消し用だったわけだ。
恥ずかしがってる…?
照れてこちらを見ようとしない星くんは、ウブな中学生のようだ。
「お粥なら、お腹にも優しいと思うから、少しでも食べて」
既にだいぶ冷めてしまったお粥を、星くんが一口食べる。
「ん、うま…」
そういうと、また、一口、食べる。
「どう?」
「おいし…です…」
小さく言って、また一口。
結局、星くんは茶碗一杯分のお粥を食べ切ってしまった。
もう一度、水分を摂らせ、市販薬を飲ませる。
熱冷ましのシートを交換する。
「せんぱい、今日はいっしょに…いてくれる…?」
小さな子どものように、私の手に縋り付く。
出来れば、ついていてあげたいけど、あいにく明日も仕事だ。
「明日、また仕事終わったら来るから」
「じゃあ、おやすみの、キス」
甘えたような声。
とろん、とした目。
だめだめ。
騙されない。
「風邪移るから、なし」
そう言って、瞼の上から掌をかぶせた。
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