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忘れられる、キスを
第9章 痕跡
ああ、倉田先輩…
私、こんなはしたないことして…
先輩は、こんな女の子、嫌、ですか…

やめたいのに、指が離せない。
いつの間にか、私は下着の上から敏感に感じる部分を探り当てていた。
くちゅっ、くちゅっと卑猥な音が立つ。
ぴりぴりとした甘い刺激が全身を蝕む。

「せんぱ…くら、たせん…ぱ…っあ…い……」

倉田先輩に恋をするのは、やめようと思ったのに。
甘い刺激に目をつむれば、瞼の裏には倉田先輩の優しい笑顔と骨張った指が浮かぶ。

慈しむようにピアノを奏でる細い指。
その一本ででも、私に触れて欲しい。

そう思うとまた、身体が熱くなる。

秘部の湿り気は増し、指の動きが自然と早くなる。

先輩…私、まだ、先輩のこと…

ぽろり、と目尻から涙が落ちる。
ふと、ベッドサイドにある、先輩とのツーショット写真が目に入った。
先輩との最後の演奏会のあと、何とか勇気を振り絞って撮ってもらった写真。
満面の笑みの私の横に、甘くて優しい微笑みをたたえた先輩。
私の大好きな笑顔。

ああ、私、先輩に見られながらこんなこと…

恥ずかしさで頭が沸騰しそうになる。
けれども、身体が求めるまま、必死に自分を慰める。

きゅうう…っと爪先が丸まった。

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