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忘れられる、キスを
第9章 痕跡
「あっ…ん……く、ら…せんぱ…っ」

呼吸が荒くなる。
こんなこと、だめだ。
そう思って目をつむると、瞼の裏で先輩が艶かしく、私の身体に触れる。

「…っひ……んう…っ…や………あっ…」

抑えようとしても零れる声。
止められない。
ああ、私、何か、変に………

「んっ……や…あ、あっ…あああっ…………!」

今までとは比べ物にならないほどの、大きく甘い快感が身体を支配する。
今まできゅうっと痺れていたお腹の下辺りが、ヒクヒクと痙攣した。
とくん、とくんと鼓動の音がうるさい。

呼吸が早い。
身体が熱い。

こんなに淫らに乱れた私のこと、そんな笑顔で見ないで…

手を伸ばして、写真立てを伏せる。

ああ、私、先輩のこと、想像して…
なんていうんだっけ……こういうの…

ぐったりとした倦怠感が襲う。
薄いショーツだけを身に付けている身体に心もとなさを感じ、足元の毛布を引き上げる。
柔らかな毛布が、剥き出しの胸に触れ、またしても甘い快感を呼び起こす。
指先で触れると、すぐに硬さを取り戻し、押し返してくる。

先輩も、こんなこと、する?
私のこと、考えたり…?

そんなことない、よね。
私、胸小さいし。
あまり、そういう女性的な魅力には恵まれていない。

じわっと涙が溢れる。

先輩、私のこと、想って、いいのに…

まだじっとりと湿り気を帯びる下腹部に、もう一度指を這わせた。
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