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忘れられる、キスを
第10章 マフラー
俺はどうにも学習能力のない男らしい。
ちょっと前にもにたようなことをして、散々落ち込んだくせに、今、また、同じ轍を踏もうとしている。

いや、これはえっちゃん先輩が悪いんだ。
先輩が、あんなに無防備で、無警戒だから。
俺の部屋に、忘れ物するから。

瞼の裏に先輩の白い肢体が焼き付いている。

胸、ほんと小さいよな。
気にしてるのかな。
大きくなるように、とか何かしてるのかな。

中学生のような妄想で頭がいっぱいになる。

お尻も…小さかったな。
服の上からしか触ってないけど、すべすべしてそう。

考えることが幼稚すぎて、我ながら嫌になる。
けれども、さっき不完全燃焼で終わってしまったことに加えて、この妄想。
ついでに先輩の香り付き忘れ物という最高のお供もある。
俺はすっかり、臨戦態勢。

もぞもぞと、先輩の残したトランクスに手を伸ばす。
ほんと、何でこんな変態行為に走るんだ俺…

先輩を想い、自分で扱くことが、これほど惨めで辛いこととは思わなかった。

どうして。
こんなに好きなのに。
先輩はこっちを向いてくれないの。

とめどない想いが心を締め付けた。

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