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忘れられる、キスを
第11章 恋
『メッセージありがとう。今月はちょっと難しいけど、来月の半ば、良かったらご飯いかない?』

返信にどくんと心臓がはねる。

また、会ってくれる?
期待しても、いい?

封じ込めようとした気持ちがまた引き戻される。
そして、私は懲りずに了解のメールを送ってしまった。

来月、先輩に会える。

たったそれだけのことで、心がじんわりと温かくなる。
指で慰める時に得られる快感よりもはるかに大きな幸福感が私を包む。

けれど、その反面、不安も過る。

また、ドタキャンされるかも?
もう、最後かも?

でも、それなら。
この燻る気持ちを伝える最後のチャンスだ。
伝えてしまえば、きっと、少しは楽になる。
たとえ、受け入れてもらえなくても。

ぎゅうっと心が締め付けられる。

先輩、私は…先輩のことが、好き。
ずっと、ずっと、大好き。

たったこれだけのことを伝えるのに、どうしてこんなに苦しくて、辛いのか。

先輩との約束の日のことを考え、期待と不安がごちゃ混ぜになる。

深く考えるのはやめよう。
会えるのだから。
それだけで、いいじゃない。

まとわりつく不安を振り払う。
考え方を前向きにしたら、少し元気が出てきた。
私は窓を開け、掃除に取り掛かることにした。


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