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忘れられる、キスを
第12章 真夜中
「可愛くても…好きな人に、可愛い、って言ってもらえなかったら、意味ない…」
ぼそりと言って、そのまま俯いてしまう。
ぽたっと足元に水滴が落ちた。
あ。
泣いてる。
そう思った時には、抱きしめていた。
離して、と押し返されたが、そうはいかない。
「先輩、こんな可愛いのに、そいつ、見る目ないよ」
「わ、悪くない…倉田せ、先輩は…」
やっぱり、倉田先輩か。
その名前に、ちりっと胸が痛む。
「わ、私が、勝手に、す、好きで…で、でも、だめって…」
「告白したんだ。えらいじゃん」
小さな子どもをあやすように、先輩の背中を撫でる。
泣くのを堪えるかのようにくぐもった声が聞こえ、やがておさまる。
「……えっちゃん先輩?」
「…ごめん…もう、大丈夫」
目元を紅くした先輩が顔を上げる。
睫毛に涙の滴が付いていた。
「もう気持ちにケリをつけようと思って、頑張って告白してみたんだけど、やっぱりダメだったよ」
「せんぱ……」
「でも、もう、平気。泣いたからすっきりした。ありがと…ごめんね、こんなのばっかりで…」
ありがとう、ごめんね、ともう一度言って、先輩が笑う。
違う。
そんな顔。
そんなの、先輩のほんとの笑顔じゃ、ない。
無理矢理笑おうとする先輩を見るのが辛くて、またぎゅうっと抱きしめた。
ぼそりと言って、そのまま俯いてしまう。
ぽたっと足元に水滴が落ちた。
あ。
泣いてる。
そう思った時には、抱きしめていた。
離して、と押し返されたが、そうはいかない。
「先輩、こんな可愛いのに、そいつ、見る目ないよ」
「わ、悪くない…倉田せ、先輩は…」
やっぱり、倉田先輩か。
その名前に、ちりっと胸が痛む。
「わ、私が、勝手に、す、好きで…で、でも、だめって…」
「告白したんだ。えらいじゃん」
小さな子どもをあやすように、先輩の背中を撫でる。
泣くのを堪えるかのようにくぐもった声が聞こえ、やがておさまる。
「……えっちゃん先輩?」
「…ごめん…もう、大丈夫」
目元を紅くした先輩が顔を上げる。
睫毛に涙の滴が付いていた。
「もう気持ちにケリをつけようと思って、頑張って告白してみたんだけど、やっぱりダメだったよ」
「せんぱ……」
「でも、もう、平気。泣いたからすっきりした。ありがと…ごめんね、こんなのばっかりで…」
ありがとう、ごめんね、ともう一度言って、先輩が笑う。
違う。
そんな顔。
そんなの、先輩のほんとの笑顔じゃ、ない。
無理矢理笑おうとする先輩を見るのが辛くて、またぎゅうっと抱きしめた。