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Platonic Love
第2章 美人さんとジュラシックパーク
清美さんにそう言われて気づいた。
そう言えばまだ名前を教えてなかったんだ。
あんだけ言い合いしてたから、教えてるつもりでいた。
猫さんはギロっと俺を睨み、『中、入れ』と言って店の中へと入って行った。
猫さんのあの睨みを見る限り、あまり歓迎されてないみたいだ。
「名前も知らない奴の世話をするようになったのか?清美は」
シャンデリアに剥製が飾られた、ホーンテッドマンションみたいな内装の店内。
その中で特に存在感を放っている大きなガラスのテーブルと真っ黒なソファーに座り込み、猫さんは清美さんにそう言ってもう一度ギロっと俺を睨んだ。
清美さんは猫さんの隣に座り込み、猫さんの膝の上に手を乗せた。
そしてエレベーターの中で見せた可愛い上目遣いを猫さんにもしていた。
「彼、親切にしてくれたの。だからちょっとお手伝いしてあげたくなって。思い出を買い取るのは猫の得意分野でしょう?どうせ捨てるならお金に変えた方が得じゃない?」
「……あいつフラレたか何かしたの?」
「詳しくは分からないけど傷心中だから、優しくしてあげてね」
清美さんにそうお願いされた猫さんは深い溜息をつき、仕方ないなと言いたげな顔で笑った。
へぇ、笑うんだこの人。