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恋花火
第25章 迷子の森
気まずい状態の中、鬼練習が始まった。
練習がキツすぎて、陸先輩とも、タケルとも話はしなかった。
「もっと走れ!もっとだ!」
監督の激を飛ばす声が響き渡る。
グラウンドでは、部員たちが必死にトレーニングしている。
最後の追い込みの為のハードトレーニング。
一番大変そうだったのは、一人一人順にFKを決めていき、外した人は10本ダッシュというメニュー。
プレッシャーに弱すぎるタケルは毎回はずし、たぶん日に30本は走らされている。
さすがの陸先輩は全決め。
けれどあまりにも外す人が多かったため、連帯責任だと陸先輩も走らされていた。
顎から滴り落ちる、汗。
それと同じ光景をたった昨日、幸せで満たされた気持ちで眺めていたのに……。
今は話さないし、目すら合わない。
"本当に好きな人のところに行っていいからね"
陸先輩の言葉が
何度も頭に浮かんだ。
「菜月ちゃん、スコアボード持ってきて。あと全員分のスポーツドリンクとタオルもお願いね。それが終わったら差し入れのレモンスライスして」
ユリ先輩が先頭に立って、私たちマネージャーに指示が出る。
茜先輩とは誤解が解けたせいだろう、二人が仲良く会話しているところを度々見かけた。
……けれど、私と茜先輩は話さなかった。
ただの一度も、話さなかった。
練習がキツすぎて、陸先輩とも、タケルとも話はしなかった。
「もっと走れ!もっとだ!」
監督の激を飛ばす声が響き渡る。
グラウンドでは、部員たちが必死にトレーニングしている。
最後の追い込みの為のハードトレーニング。
一番大変そうだったのは、一人一人順にFKを決めていき、外した人は10本ダッシュというメニュー。
プレッシャーに弱すぎるタケルは毎回はずし、たぶん日に30本は走らされている。
さすがの陸先輩は全決め。
けれどあまりにも外す人が多かったため、連帯責任だと陸先輩も走らされていた。
顎から滴り落ちる、汗。
それと同じ光景をたった昨日、幸せで満たされた気持ちで眺めていたのに……。
今は話さないし、目すら合わない。
"本当に好きな人のところに行っていいからね"
陸先輩の言葉が
何度も頭に浮かんだ。
「菜月ちゃん、スコアボード持ってきて。あと全員分のスポーツドリンクとタオルもお願いね。それが終わったら差し入れのレモンスライスして」
ユリ先輩が先頭に立って、私たちマネージャーに指示が出る。
茜先輩とは誤解が解けたせいだろう、二人が仲良く会話しているところを度々見かけた。
……けれど、私と茜先輩は話さなかった。
ただの一度も、話さなかった。