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恋花火
第27章 tears rain
ふと会話が途切れ、流れる沈黙。


外を吹く風が、窓を揺らす音だけがカタカタと耳に届いた。


俯き加減だった陸先輩が僅かに視線をあげ、目が合った。


「……正直な話、してもいい?」


心臓が跳ねる。


正直な話


それってもしかして


別に付き合うとか、そういう気持ちがなかったとかいう……?


「本当は菜月ちゃんとこうなるつもりじゃなかった。」


胸に穴があくとは、まさにこの事


ズキン、とか、そんな表現じゃ生ぬるい


泣き虫な私だけど


瞳から涙は出てこなかった。


最初からわかっていたのに。


陸先輩は私を相手にする人なんかじゃない。


気まぐれでキスをしただけなんだと。


なのにいつのまにか信じてしまっていた。


陸先輩と過ごすうちに


会うたびに惹かれて______







「……だけど、顔を見るたびに、一言会話するたびに、欲張りになっていった。」

「え……?」

「タケルの気持ちも、茜の気持ちも知ってた。だけど……もう止まれなかった。」


陸先輩は続けた。


「タケルの事を信じて待っていれば大丈夫だって言うつもりだったのに……どうしても、言えなかった。タケルと菜月ちゃんの関係を壊したのは茜じゃない。……俺だよ。」


だから恨むなら俺を恨んで______


そう、言った。
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