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恋花火
第29章 雨上がりのレインボー
意外や意外、タケルは茜先輩にカミングアウトされる前に、自ら茜先輩の気持ちに気付いたらしい。


それには陸先輩も驚いていた。


「見てればわかる。」


とか言ってるけど、私は全然わからなかった。


「なんか必死で、健気で。協力してあげたくなっちゃったんだよね。」

「そうだったんだ…」

「俺といると、菜月の匂いがすんだって。でも途中からしなくなったって……あっ」


陸先輩のことを忘れ語ってしまったタケル。


それ本当に「あっ!」だよ……


だけど陸先輩は、そんなの気にしないよって感じで、「茜の菜月レーダーすげぇなぁ」とかって言ってる。


あ、今初めて呼び捨てにされた。


ちょっと嬉しい。


「……ていうか茜先輩、なんで私なんだろう?」


そこは本当に疑問。


私は飛び抜けた才能というものもないし、見た目も平均並みってよくタケルに言われてたし、特技も見受けられないのに……


「恋ってそういうもんでしょ。気付いたら落ちてるんだよ。」


陸先輩の呟きにハッとする。


……そう、私もそうだった。


気付いた時には陸先輩に落ちていたように


タケルの時だって……






「おーいブス家着いたぞ」

「うん。……は!?ブスって言った今!?」

「言ったかも。」

「かもってなんなの!」

「いたいいたい」


タケルのほっぺを力一杯つねる。


むぎゅー


「あはは〜ちょー変な顔〜」

「むにゅ〜ん」

「あはは」

「ワレワレハウチュウジンダ」

「やはは〜!」


は!


陸先輩いることすっかり忘れてた!!


振り返ると陸先輩は、私たちのことをお兄ちゃんみたいに見守っていた。


……やっちまいました。



……そう、タケルといると、いつもついついじゃれてしまう。


そういえば私たち喧嘩してたはずなのに。


いつのまにか普通になってた。


ごめんがなくても、いつのまにか。


それが幼なじみ


私たちの関係。
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