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恋花火
第4章 高校一年生*夏
慌てて部屋に入ると、ハァーっと出るため息。


「せっかく気持ちよく寝てたのに…」

「俺がヤられてもいいのかよ」


肉食女子マジこえぇってタケルがなんかブツブツ言ってる。


「肉食女子ってもしかして」

「もしかしなくてもユリ先輩っす」


タケルはレンと2人部屋。


レンが美波とイチャイチャするためにいなくなると同時に、ユリ先輩が部屋に来たみたい。


「ユリ先輩いいじゃん。おっぱい大きいし。」

「人をおっぱい大好き人間みたいに言うなよ。」

「違うの?」

「おっぱい大好きならおまえとエッチしません。」

「それって私が小さいってこと!?」

「でかくはないんじゃん?」


小さいのは自分でも知ってる…


けど、言われるとちょっとムカっとくる。


「すいませんね小さくて!」

「ダメって言ってねーだろ」


たかがおっぱい、されどおっぱいで言い合いしてたら…


「菜月ちゃん?タケルくんそこにいるー?」

「「!!」」


ドアの向こうからユリ先輩の声。


「ちょっ、隠して!」

「隠してってどこに!?」


一応小声で会話してたら…


「入るよー?」


きゃー!やばいやばいやばい!!


急いでタケルを隠さなくちゃ!


「…って、なんでここ…」

「だってここしかないじゃん。」

「菜月まで隠れなくても良かったんじゃね?」

「思わず…」


間一髪、部屋の隅にあるクローゼットにタケルをかくまった。


…なぜか勢いで、私まで。笑


「あっついよ〜」

「動くなせまいんだから」


人が二人入ることを想定していないクローゼットは本当に狭くってギュウギュウ。


「あれ?菜月ちゃんもいない。」


ユリ先輩はキョロキョロ見回している。


早く部屋から出て行ってほしい…じゃないとここから出られないよ〜!


ユリ先輩は部屋から出て行くどころか、ベッドに腰掛けて、携帯電話をいじり始めた。


帰る気配、ゼロ…。


それでもなんとか隠れ続けなくちゃ。


こうして息を潜めて隠れていると、遠い昔の記憶と重なる。


「…ねぇ、小学校の頃もこうやってかくれんぼして遊んだよね。」


コソッと声を潜めて話しかける。


鬼に見つからないようにジッと身動きせずに隠れていたあの日も


こうしてタケルとくっついていたね。




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