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恋花火
第4章 高校一年生*夏
小さな頃から、私たちは幼なじみとして、ずっと仲良くやってきた。


喧嘩もしたけれど、それよりも楽しい思い出の方が多い。


家の近くの海によく遊びに行ったこと


ゆずの「夏色」にハマって、ブレーキいっぱい握りしめるどころかノンブレーキで坂道を下り、田んぼにつっこんだこと


本当は寄り道しちゃいけないのに、寄り道しまくって帰るのに一時間以上かけて帰ったこともある


思い出はほとんど共有しているし、お互いのことはお互いよりも知ってる。


…ただ、今と昔で違うことといえば


SEXをするようになったことだけ。


「…菜月」


耳元で囁かれる。


「なに?」


振り返ったところで、クローゼットの中は真っ暗で何も見えない。


はぁ、と息遣いだけが聞こえる。


「……!」


いきなり重なった唇。


驚いて離れようとするも、後頭部に回された手により離れることは不可能に近い。


熱い…すごく


唇から進入してくるタケルの舌は熱かった。


チュ、と唇と唇が重なる音がクローゼット内に響く。


なんとか唇を離し、タケルを制止する。


「ユリ先輩にバレちゃうよ…ヤバイって」

「だったら黙ってて」


再び重ねられた唇。


私を知り尽くしている彼の舌は


あらゆる感情を麻痺させる。


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