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恋花火
第33章 All the best
ハーフタイム


選手達には思い切り休ませる。


それが我が校サッカー部のやり方。


マネージャー達はハーフタイムになると、スポーツドリンクとレモンスライス、タオルを選手たちに渡す。


時にはテーピングを巻いてあげたり、冷やしてあげたりと、なかなか忙しい。


そしてそのまま後半に突入。


二点連続でシュートが決まり、一回戦は無事に勝利を手にした。


試合前、試合中と、集中してるからか全く笑顔がなかった陸先輩にも、笑顔が戻っていた。


そして試合の後、ベンチから引き上げバスに戻る途中


「あの、松下さん。」


そう声をかけられた。


声をかけてきたのは______そう、二川原さんだ。


「これ、タケル君に渡してほしいの……」


手渡されたのはスポーツタオルと、可愛くラッピングされた、たぶん手作りのクッキー。


「え、二川原さんが直接渡した方が喜ぶと思うんだけど……」


けれど二川原さんは困ったような笑顔を浮かべ、「お願い」と言ってきた。


「まぁ……いいけど」

「ホント?ありがとうー!」


私にそれをサッと手渡すと、二川原さんはその足でなぜか陸先輩に同じものを手渡ししていた。


いやいや、意味わかんないよ。


けれど陸先輩はお断りしたのだろう、二川原さんから受け取らずにバスへ乗り込んだ。


……どうしよう、これ……


タケルに渡さなきゃいけないけど、なんとなく昨日の今日で声をかけづらい。


困った私は、それをそのままレンに託すことにした。
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