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恋花火
第40章 トモダチ。
美波は一呼吸置いて、真剣な顔つきになった。


「……二川原さんには絶対言えないよ。菜月誤魔化すの下手そう。」

「やっぱり怒るかな?……人の事言えなくない?」

「浮気してる奴って、他の人の事は許さないもんよ。」

「勝手だねぇ」

「そうだねぇ」


今日、改めて思ったけれど


二川原さんとタケルは顔を合わせても、まるでカップルという素振りは見せなくて


ある意味プロだと思った。


……もちろん、栗林翔太とも。




「……なんでタケルは私にキスなんてしたのかなぁ…」


ボソッと呟くと、美波はビックリした顔でこっちを見た。


「私にもわかるのに、あんたにはわかんないの!?」

「え?全然わかんないけど。」

「…わかんなくていいのかも。わかったらダメだよね、うん。」


美波はブツブツひとりごちて、「気にすんな」って言った。


「……うん。気にしないよ。私はもう他人だそうですから。」

「なにそれ?」

「こっちの話。」


タケルがあの家からいなくなったら


もう、本当に他人になっちゃうね。


……私の部屋に置きっぱなしのタケルの私物はどうしよう。


漫画本に、DVD。


前まではお泊まりもしていたから、着替えも歯ブラシも全部あるのに。


ダンボールに全部まとめて詰め込んで、新住所に送りつけてやろうか。


それがいい。




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