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恋花火
第40章 トモダチ。
その日のお昼休みは、美波に誘われ久しぶりに学食へ向かった。


……あ。今日の日替わり定食は唐揚げ定食だ。


タケル、喜んでるだろうな……まさか、これに合わせて登校してきたのかな……なんて思った。


その証拠に、学食にはタケルの姿もあって、クラスの友達だろう、楽しそうにしながら食べてる。


タケルの笑顔を見るとホッとする。


もうその笑顔は、私に向けられることはないだろうけど。


私は持ってきたお弁当をテーブルに広げた。


「おかず多っ!」


美波が、私のお弁当を見て笑った。


私のお弁当にも、今日は唐揚げが入っている。


いつもなら、タケルが必ず私のお弁当を覗いて、唐揚げとか好きなおかずが入っているとつまみ食いしていた。


なので私は、自分で食べる分より少し多めに入れるのが、もう癖みたいになっている。




「松下さん」


お弁当に箸をつけた所で声をかけられて、顔をあげると二川原さんが立っていた。


「ちょっと話があるんだけど」


とても真剣な顔。


「私席外した方がいい?」


美波のそんな問いかけにも答えず、二川原さんは低く冷たい声で言い放った。


「人の男に手出してんじゃねーよ」


その声に、賑やかだった学食はしん、と静まり返った。


「今朝、タケル君に別れようって言われた。」


いきなりの事に、頭が回らない。


「あの日…、決勝戦の日の夜病院に行ったら、看護師さん達が噂してた。タケル君の所にセーラー服の女の子がお見舞いに来てたって。…キスしてたんだって?」


……見られてたんだ。


あんなに長い時間していたのだから、誰かに見られてたっておかしくはない。十分にあり得ること。


「……したよ。」


嘘じゃない。


私とタケルは、キスをした。


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