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恋花火
第42章 ナミダボシ
14歳


私たちが身体を重ねる前のこと。


タケルは毎日、サッカー部の先輩から嫌がらせを受けていた。


平気そうにしてるけど、結構精神的にきてるのがわかる。


毎日毎日一緒にいるから、わかっちゃうの。


そんなタケルは試合当日になると、おなかが痛くなるという……。


リタイアした方いいんじゃない?ってくらい、顔面蒼白。


「……菜月、あれして、あれ。」

「うん。」


タケルは試合前になると、私を抱きしめる。


「……ちょっとは落ち着いた?」

「まだ。」

「頼りないなぁ 笑」

「うっせー」


いつもは嫌がらせされても、何をされても飄々としているのに


試合となるとそうはいかないらしいタケル。


そんなタケルのことを、可愛いとか思っちゃう。


ほんのちょこっとだけどね!


試合が始まり、私は観客席で試合を観戦した。


大切な試合だというのに、先輩たちは、また……。


くっそむかつく。(心の声)


全然フェアプレイじゃない。


試合はボロ負けした。


先輩たちがアホな事をしているせいで。


試合終了後、スタンド裏に向かった。


すると先輩たちはこの試合で引退だというのに、ボロ負けしたというのに、へらへら笑ってる。


「悔しい!!」

「なんでおまえが泣くんだよ」

「負けたのもだけど……タケルが辛そうなのがやだ!」

「やだって言われてもねぇ 笑」

「私いつかやっちゃうかも」

「なにを?」

「不幸の手紙。」


バカじゃねってタケルは笑った。


そして


「俺も悔しい」って言って


ボロボロ大粒の涙をこぼして、泣いた。
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