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恋花火
第43章 春の海、冬の海

タケルのあとをついて歩く。
私も行きたいと言って、それに対しタケルはいいとも、悪いとも言わなかったけれど。
時々振り返り私のことを見る。
それは昔からの、タケルの癖だ。
"菜月!海いこーぜ!"
……まだ小学生だった頃の春休み
家でアイスを食べていたら、タケルが飛び込んできた。
"えっ、今!?まだ泳げないよ!?"
"誰も泳ぐって言ってねーだろ。ほら行くぞ"
強引に引きずられ、春の海へと。
"さみぃ"
誘い出しておきながら、タケルは寒いと震えていた。
"こうするとあったかいよ。"
私はそんなタケルの手を握り、自分のポケットに入れた。
"……ほんとだ。"
あったけーなって、タケルは笑い
そして次の瞬間、いきなり泣き出した。
こんなに泣いたタケルを見たのは初めてのことで、オロオロしていると、タケルはぎゅうっと抱きついてきた。
"父さんがいなくなった……"
そう言って
わんわん泣いていた。
タケルのお父さんは、女の人といなくなった。
いなくなったその日
お父さんはタケルと二人で出かけていた。
タケルが男同士でデートだとはしゃいでいたので、その日のことは今でもよく覚えている。
"父さん俺の後ろ歩いてたんだよ……なのに振り返ったらいなくなってて。探してもどこにもいねーんだよ"
その日のお父さんの様子は、よく考えたらおかしかったと、のちにタケルが言っていた。
"父さん、パフェ食わせてくれたんだよね。いつもなら店で一番安い小さいプリンなのにさ。その日は、果物がたくさんのったでかいパフェだった。"
それはタケルのお父さんの、タケルに対する愛情なのか、罪悪感なのか。
"あの時、父さんと手を繋いでいたら、もしかしたらいなくならなかったかもしれない。"
その日からタケルは、歩く時必ず手を繋いでくる。
どうしても繋げない時は、後ろを振り返って、私がいるかどうかを確認してくる。
タケルは今も、その癖が抜けていない。
私も行きたいと言って、それに対しタケルはいいとも、悪いとも言わなかったけれど。
時々振り返り私のことを見る。
それは昔からの、タケルの癖だ。
"菜月!海いこーぜ!"
……まだ小学生だった頃の春休み
家でアイスを食べていたら、タケルが飛び込んできた。
"えっ、今!?まだ泳げないよ!?"
"誰も泳ぐって言ってねーだろ。ほら行くぞ"
強引に引きずられ、春の海へと。
"さみぃ"
誘い出しておきながら、タケルは寒いと震えていた。
"こうするとあったかいよ。"
私はそんなタケルの手を握り、自分のポケットに入れた。
"……ほんとだ。"
あったけーなって、タケルは笑い
そして次の瞬間、いきなり泣き出した。
こんなに泣いたタケルを見たのは初めてのことで、オロオロしていると、タケルはぎゅうっと抱きついてきた。
"父さんがいなくなった……"
そう言って
わんわん泣いていた。
タケルのお父さんは、女の人といなくなった。
いなくなったその日
お父さんはタケルと二人で出かけていた。
タケルが男同士でデートだとはしゃいでいたので、その日のことは今でもよく覚えている。
"父さん俺の後ろ歩いてたんだよ……なのに振り返ったらいなくなってて。探してもどこにもいねーんだよ"
その日のお父さんの様子は、よく考えたらおかしかったと、のちにタケルが言っていた。
"父さん、パフェ食わせてくれたんだよね。いつもなら店で一番安い小さいプリンなのにさ。その日は、果物がたくさんのったでかいパフェだった。"
それはタケルのお父さんの、タケルに対する愛情なのか、罪悪感なのか。
"あの時、父さんと手を繋いでいたら、もしかしたらいなくならなかったかもしれない。"
その日からタケルは、歩く時必ず手を繋いでくる。
どうしても繋げない時は、後ろを振り返って、私がいるかどうかを確認してくる。
タケルは今も、その癖が抜けていない。

