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恋花火
第43章 春の海、冬の海

テトラポットは不規則なようでいて、規則的に並べられている。
その上を、まだ治りきっていない足で渡り歩くタケル。
「あぶないよタケルー」
私の声は、波音に消され届かない。
「うわっ!」
タケルの真似をしてテトラポットの上を歩いていたら、一部凍っていたのだろう。
足を滑らせてしまった。
咄嗟に手をついたので、手のひらが擦りむけた。
「あぶねー、反射神経悪いんだから無理すんなよ。」
タケルがすぐに飛んできて、私を抱きとめた。
「近いっ!」
「はぁ?助けてあげたんですけど。」
「それはありがたいけど!」
タケルに近寄れば、またキスされちゃうんじゃないかって
私は警戒しているのです。
「もうしねーよ。」
「はい?」
「この間はごめん。」
「え……そんなに素直に謝られると……」
「……なんか色々血迷っててさ。ほんとごめん。」
「血迷ってたって……二川原さんのことで?」
忘れてないよ
あれは決勝戦の日だもん
栗林翔太が、二川原さんの浮気をタケルに暴露した日。
タケルが血迷ってしまうほど、二川原さんの存在は大きかったんだね。
……やっぱり二人はエッチしてたのかなぁ……
悶々と思いを巡らせていると、タケルはフッと笑った。
「……ほんと顔に出るよな。」
「……それ、よく陸先輩にも言われる。」
「してない。」
「へ?」
「二川原とはしてません。」
「えぇ!?」
「やっぱり無理だった。」
「無理ってなんで!?二川原さんナイスバディなのに……」
「……なんでだろーな。」
そこからは会話が途絶え
無言のまま、冬の海を眺めた。
「……でもマフラーは二川原さんにあげたんでしょ?」
「あれは気付いたらなくなってた。」
「そうだったんだ。……じゃあ、また買いに行く?」
そんな私の問いかけに、タケルは首を横に振った。
その上を、まだ治りきっていない足で渡り歩くタケル。
「あぶないよタケルー」
私の声は、波音に消され届かない。
「うわっ!」
タケルの真似をしてテトラポットの上を歩いていたら、一部凍っていたのだろう。
足を滑らせてしまった。
咄嗟に手をついたので、手のひらが擦りむけた。
「あぶねー、反射神経悪いんだから無理すんなよ。」
タケルがすぐに飛んできて、私を抱きとめた。
「近いっ!」
「はぁ?助けてあげたんですけど。」
「それはありがたいけど!」
タケルに近寄れば、またキスされちゃうんじゃないかって
私は警戒しているのです。
「もうしねーよ。」
「はい?」
「この間はごめん。」
「え……そんなに素直に謝られると……」
「……なんか色々血迷っててさ。ほんとごめん。」
「血迷ってたって……二川原さんのことで?」
忘れてないよ
あれは決勝戦の日だもん
栗林翔太が、二川原さんの浮気をタケルに暴露した日。
タケルが血迷ってしまうほど、二川原さんの存在は大きかったんだね。
……やっぱり二人はエッチしてたのかなぁ……
悶々と思いを巡らせていると、タケルはフッと笑った。
「……ほんと顔に出るよな。」
「……それ、よく陸先輩にも言われる。」
「してない。」
「へ?」
「二川原とはしてません。」
「えぇ!?」
「やっぱり無理だった。」
「無理ってなんで!?二川原さんナイスバディなのに……」
「……なんでだろーな。」
そこからは会話が途絶え
無言のまま、冬の海を眺めた。
「……でもマフラーは二川原さんにあげたんでしょ?」
「あれは気付いたらなくなってた。」
「そうだったんだ。……じゃあ、また買いに行く?」
そんな私の問いかけに、タケルは首を横に振った。

