この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋花火
第46章 繋いだ手
タケルと手を繋ぐのは、とても久しぶりのこと。


こんなに大きかった?


こんなに温かかった?


久しぶりの手は、よく知るタケルの手なのに、誰か違う人の手のようだった。


「……ねぇ」

「ん?」

「タケルだよね?本物の。」

「おまえ頭大丈夫?」


うん、タケルで間違いないよ。


なのになんか違う。


とりあえず知らない駅の前にのびている、知らない道を歩くことにした。



「ここどこー?」

「さぁ?」


わかんないけどどんどん進む。


進んでいくと住宅街に入り、更に続けると、田んぼが多い場所に出た。


周りに何もないその場所は、北風が私たち目掛け、容赦なく吹いてくる。


「風邪引くとダメだから。」


そう言ってタケルが私の首にぐるぐる巻いてきた。


「なんなのこれ……」

「なにってタオルじゃん。」

「いやいやいや…ここはマフラーでしょ!?」

「だってマフラーねぇもん。二川原にパクられたままだし。」

「だからってタオル巻く!?」

「ないよりよくね?銭湯帰りみたいでかっけぇぞ。」


タケルが自分で自分が言ったことがツボに入ったらしく、そのまま笑い転げた。


「……おもしろくないから。」

「さいこ〜」


涙を流すだけ笑って、ヒーヒー言ってる。


「バカじゃないの。」

「首にタオル巻きながら言われてもねー」

「巻いたのあんたでしょ!」

「もうしゃべんな!おもしろすぎる 笑」


意味わかんない。ちっともおもしろくない。


だけどこんなに笑ってるタケルを見たのもすごく久しぶりで


思わず嬉しくなって


気付いたら私も笑っていた。


繋いだ手


陸先輩じゃない男の人の手


だけどそれに罪悪感を感じていない私は


どこまでも最低なんだろう、と思う。





だってタケルが笑ってるんだもん


それがなにより嬉しくて


繋いだ手を、ギュッと握りしめた。
/347ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ