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恋花火
第46章 繋いだ手
知らない街をただ、歩く。


手を繋いで


どこまでも。


「おなかすいたー」

「なんか食う?」


そうは言っても、どこに何があるのかわからない。


見渡しても、まばらにある民家と


その周りに広がる田んぼ。


「お、見ろ。」


そう言ったタケルの目線の先には、田んぼで餌を探す白鳥の姿があった。


「白鳥見ると冬だなって感じる。」

「わかる。」


タケルとは、小さい頃からずっと一緒に登下校した。


だからその道中で、冬になると北へ向かう白鳥に遭遇することもあった。


「すげーよなぁ。白鳥は行くべき場所ちゃんとわかってんだよな……」


タケルはポツリと呟き


私はそんなタケルの手を握り直した。


「……こんなちっちゃかったっけ?」


タケルはポケットの中の私の手を握り返してきた。


私もそう思ってたよ。


タケルの手、こんなに大きかったかな?って……


私たちは手を繋いだまま


しばらく白鳥を眺めていた。


繋いだ手はとても温かく、心強くて


この冬の寒さも、知らない街にいるという不安も


全て消し去ってくれるような気がした。


「……傷になっちゃってるな。……まだ、痛い?」


この間、海で転んだときに出来た手のひらの傷を撫でられ


ふと思い出したのは陸先輩のこと。


私は陸先輩の彼女で


陸先輩のことがとても大好き。


そして、陸先輩も私のことを大切にしてくれて


想ってくれていて


……なのにどうして?


私はタケルの手を、振り解けない。


こんなの間違ってる。


最低だ。


わかっているのに、どうして









私は、傷を撫でるタケルの手を強く握り顔をあげると、いつものように、すぐそこにある強い瞳と目が合った。


そして私は


少し乾いた、その唇に








そっと、キスをした。
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